事故米の話が今ニュースで持ちきりだ。北海道で起こった牛肉偽装以来(もしかすると雪印以来か)、同じような食品偽装の話が止まらない。恐らく表面化しているのは一部だけと見て間違いないだろう。はっきりいって偽装は全面的に企業側が悪い。ただその行動へ至る側面に、社会の、そして消費者の持つ「低価格」への過剰信奉がある事も忘れてはならないように思う。
今でもデフレ経済の後遺症は残っている。好景気であったはずのここ数年、世間でその実感が乏しいのは可処分所得が増えてこないから。企業は後々のために、利益を従業員へ還元せずに内部留保してきた。今、景気は後退している。原油価格の高騰により、物価は上がっている。今、日本はスタグフレーションという最悪の事態に陥っている。ますます消費に金が回らない。そんな中で安いものを求められるがあまり、一部の悪どい経営者は、企業努力による効率化ではなく、まったく安易な方法「偽装」という形で、コスト削減を図ってきた。
経済は全て連動している。可処分所得が増えない→消費が増えない→モノが売れない→企業が儲からない→また可処分所得が増えない。その中で利益を確保するために「偽装」という誤った方法が存在している。恐らく発覚している、していないに関わらず色んな場所で。しかしその一方で企業が利益をあげても社会全体の好況感にはあまり寄与しない。実感するのはごく一部の人間だけに留まる。だからいつまで経っても低価格を求める声は収まらず、ゆえに結果として企業も消費者も自分の首を絞めることになる。価格転嫁できないという声はそこら中で聞こえてくる。
本来は企業努力である程度の価格競争が行われてしかるべきだが、今はその限度を超えた状況が多方面で見られる。それだけ原油価格の高騰は社会全体に暗い影を落としている。想像を遥かに超えたレベルで。企業も消費者も今の消費に対する立ち位置をもう一度考え直さなければならない。
通常、価格の中にはある程度安全のコストが含まれているはず。だが今は、ともすればそれを省いてでも低価格である事を求めてくる消費者や小売チェーン、企業が多すぎる。これは重視する部分を間違えている気がする。消費が増えなければ、経済は上手く回らない、企業は上手く動けない、消費者の所得は増えない訳だから。何度も言うがこれに対応するために「偽装」という手段を用いるのは絶対的に間違っている。
世間はもう少し安全に対するコスト意識を持つべき。そして小売チェーンは低価格以外の企業戦略を持つべき。更に企業は安全にかかるコストをもっと世間にアピールすべき。安く売るのが優秀で素晴らしいというのは、デフレというおかしくなった経済状態の時だけで十分。
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